2014年07月22日

身体醜形障害(醜形恐怖症)

外見が醜いという観念にとらわれて、人と会うのが苦痛で家に引きこもるために、




学校にも通えなくなったり、仕事にも就けなくなったりする青年が増えてきています。




精神医学的にはナルシシズムの病理と考えられています。




治療のヒントは、ナルシシズムの用語の由来になったギリシア神話のナルキッソス青年の話に行きつきます。




顔立ちの美しいナルキッソスは言い寄る女性を冷たくあしらったために、罰を受けて、




水面に映る自分の顔のとりこになって、死んでいくという物語です。




人間は自分の顔を知るのに鏡が必要です。




同じように外見以外の自分のことを知るのには、他者を必要とします。




この他者の存在が心理療法(カウンセリング)の出発点になります。




他者、すなわちカウンセラーとの対話のなかで人を愛すること、人に愛されることの大切さを学び、




外見へのとらわれから脱出できると思います。




勇気を出して、心理療法を受けられると迷路から脱け出せる日が来ます。







精神医療相談室ドンマイ




http://fko-donmai.sakura.ne.jp/

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2014年07月15日

臨床で感じたこと(精神科医)

人生に悩む最大の原因のひとつが愛に関するものである、とつくづく考えさせられる患者さんが増えています。


作家の夏目漱石もその一人です。


漱石は大学生の頃、トラホームに罹って眼科を受診します。


待合室に美しい女性を見つけて、恋におちいった途端に、彼女に付き添っている母親が自分と結婚させようとしている、という妄想が出現します。


その後、妄想はどんどん発展し、彼は友人の助けもあって四国の愛媛に英語教師として赴任します。


愛媛でも1年のうちに3回引っ越します。


その理由は、くだんの女性の親戚が自分を監視し、あとをつけ回す、といった妄想にありました。


愛媛での経験は『坊ちゃん』に結実しますが、そのあとも漱石は時々出現する妄想に悩まされ、やっと『道華』で自分のノイローゼの原因が幼少期の愛に関するトラウマにあることを探し出して、ノイローゼから解放されます。

患者さんの治療も薬だけでなく、人生をもう一度生き直すという体験が大切かと切に感じています。

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